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「そりゃあ、女性にとって、きれいになるってことはいいことだと思うわよ、否定はしない。
「あの人と結婚してほんとうに幸せでした」父が急病で六○歳で亡くなったとき、母が義母に告げた言葉である。
私はまだ二○代前半だなんて素敵なんだろう。
私もそんなふうに思える人といつかめぐり合いたいと、心からそうおもう。
でもそれだけじゃないでしょ。
心の安定がいちばん大事なんじゃないの?いまのあなたはあんまり幸せそうじゃないもの。
あなたが幸せにならなきゃ、ママはいつまでたっても安心できないわね。
いつもそれが悩みの種。
「M先生との火曜日』の中には、こんな言葉が出てくる。
旧友や仕事先で出会った女性ディレクターは、なぜあんなに輝いて美しく見えたのだろう。
そして、なぜ私は彼女たちに会ったあと、あんなに寂しく、むなしい思いにかられたのだろ。
「愛に飢えているから、ほかのもので間に合わせているんだよ。
物質的なものを抱きしめて、向こうからもそうされたい。
だけど、それはうまくいかない。
物質的なものは愛ややさしさの代わりにはならない、友情の代わりにはならない。
かねはやさしさの代わりにはならない。
権力もそう。
死を目の前に控えてここに座っている私に言えることは、かねや権力をいくら持っていても、そんなものはさがし求めている感情を与えてくれはしないっていうこと。
それをいちばん必要としているときにね。
いま私の手元には、五年前の運転免許証と、つい最近書き換えでつくったものと、ふたつの運転免許証がある。
私はそれを見てこう思うのだ。
「私が高いお金と苦痛を我慢してやってきたことはいったい何だったのだろう?」と。
五年前といえば、ちょうど美容外科的治療をひと通り終え、その間にかけた金額を考えれば、ドラスティックに若々しく変貌しているはずなのだが、見ても免許証の写真は年相応にしか見えない。
対する五年後の写真。
この五年間は薬品を使っていたものの、皮肉にも写真などで確認しえたのだろう。
彼女たちが持っていて、私が持っていなかったもの。
それはまさしく「愛」というものだった。
私が美と若さを追い求めた年月の間、私はいつのまにか自分のことしか考えない人間になっていた。
家族にもあまり自分のことは話さず、理解してもらう努力すらしてこなかった。
でもどこかでやはり寂しかった。
自分のことを理解してくれ、真正面から受け止めてくれる相手がほしかったのだ。
だからこそ、信頼できる人間関係に囲まれた彼女たちがひどくうらやましくおもう。
ストレスを人間の身体が受けると、アンドロゲンと呼ばれる男性ホルモンの一種の分泌が高まることがわかっている。
このアンドロゲンの増加はいわゆる「アダルト・ニキビ」と呼ばれる大人の二キビの原因となる。
さらにはいわゆるストレスホルモンの別名も持つコルチゾールのレベルも上がる、手づくりコスメなどに時間を費やしてきた。
そしてここ数ヵ月に至っては、ようやく薬品による。
多くの副作用からも脱出し精神的にも安定してきた。
その結果がこれなのだろうか?自分でいうのも変だが、まるで別人なのだ。
単に若く見えるとかだけではなく、顔つきまでもがちがっている。
これはいったいなぜなのだろう…。
しばらくの間、ずっとその理由を考えていた。
五年前の私…どんな治療をやっても満足できず、満たされない気持ちでいっぱいだったころ。
仕事への不安、老いへの不安、かなり精神的につらい時期でもあった。
そんなさまざまな精神的不安が、知らず知らずのうちに、写真にもうつるほどの大きなストレスになっていたのであろうか。
ちなみに、よくストレスは美容によくないといわれるが、これにはきちんとした医学的根拠チゾールに至ってはほかのホルモンが年齢とともに減少するのに対し、このホルモンだけは加齢によって増加する傾向を持つ。
これが増加すると、GI指数の高い食品を摂取したのと同じ状態となり、インシュリンの分泌が高まって血糖値も上がる。
その結果、肌老化が進んでしまう。
さらには免疫力全体を抑制するため、あらゆる症患にかかりやすくなる。
このほかにも心理的ストレスにより皮層のかゆみ、ひりひりとした痛みなどが増すという、ストレスと皮層症状の相関関係を示すデータも存在する。
結局私は、美と若さを追い求めるその過程で、反対にそれを失っていたのではないだろう。
幸せのカギだと信じて疑わなかったはずの美容が、皮肉にも不幸せのカギとなっていたのでは?私が失った五年以上の歳月を取り戻すことは、もうできない。
でもせめてこれからの月日は、いままでできなかったことを手遅れにならないうちにやらなければ、今度こそ自分のほうから周囲に愛情を注がなければ、私にはけっして幸せは訪れない。
幸いにもまだこんな私を気づかってくれる人々がいる。
ある日そんなひとり、いまの私にとってはいちばん大事な、大切にしたい人にこう問いかけた。
でももしかしたら、それはあなたが気づかないだけで、もう手に入れているものなのかもしれない。
ただ、その大切さにあなた自身が気づいていないだけかもしれない。
「ねえ、もし私が年相応に老けちゃっても、シワがたくさんできて、お腹とか出ちゃっても、それでも好きでいてくれる?」「好きだよ。
当たり前じゃない…」たぶん、私がほしかったものも、あなたがほしいといま望んでいるものも同じなのだと思うよ。
「美と若さは幸せに結びつきますか?」本書の最後に、この問いに対する答えを述べておこうと思う。
「幸せにも不幸せにも結びつきます。
要はつきあいかたしだいということです。
たしかに、若いうちは、美しさは女性にとっていろんな意味での可能性を広げてくれるきっかけになるかもしれません。
でもそれはほんの一時期のものです。
女性にとってのほんとうの幸せとは、自分自身を価値あるものとして受け止めてくれる人と出会い、愛し愛されることです。
私が幼いころから思ってきたこの考えも、やはりちがっていたようだ。
いまはこう思っている。
「女の子の幸せのほとんどは、愛し愛されることによって決まる」身体の多くの器官や組織の成長に関与しているホルモン。
夜、身体は眠っているが脳は覚醒に近い状態、すなわちレム睡眠開始後の一二時間の間に集中して下垂体から分泌される。
下垂体から抽出されたものが使われた時代もあったが、クロイッフェルト・ヤコブ病や狂牛病の発生により、アメリカなどでは死体からのHGH抽出は完全に禁止された。
現在使われているものは遺伝子組み換え技術によってつくりだされたもので、このおかげでHGHの大量供給が可能となった。
しかし、肝心の若返り効果については不明な点が多く、妊娠可能な年齢の女性に投与した場合のその子どもに与える影響や、投与を受け続けた人がどんな死に方をするかなどもわかっていない。
肌の弾力をつくるゴムのようなもの。
加齢や紫外線などによって増加するエラスターゼという。
もっとも強力なGHB(ガンマー・ハイドロキシ・ブチラート。
アスリートやボディ・ビルダーなどの間で、ドーピング剤としてかつて愛用されていたが、肉体に与える負担があまりに大きいとして現在は販売禁止になっている)と同じ作用があるが、飲料のため、幸運にも薬物取り締まりのチェックからはずれて市場に出回っている。
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